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事務の引き継ぎ書に必ず書く7項目|異動で困らないWordテンプレ付き

事務の引き継ぎ書に書くべき7項目を、記入例つきで解説します。手順だけでなく「なぜ」を残すと、後任が例外にも対応でき、不要な業務をやめる根拠にもなります。無料のWordテンプレート付き。

異動や退職が決まると、必ずついてくるのが引き継ぎ書(引継書)づくりです。

いざ書こうとすると「何をどこまで書けばいいのか」で手が止まります。
逆に受け取る側になると「手順は書いてあるけど、肝心なことが書いていない」に悩まされます。

僕は事務職として働きながら、書く側と受け取る側の両方で引き継ぎ書に困ってきました。

この記事では、その経験から固まった「引き継ぎ書に必ず書く7項目」を、記入例つきで解説します。
そのまま書き込める無料のWordテンプレートも配布します。

この記事でわかること

  • 異動後に前任業務の問い合わせに追われない、引き継ぎ書の作り方
  • 手順書には書けない「なぜ」「例外」「口頭の決まりごと」の残し方
  • 「なぜ」が書いてあると、業務そのものを減らせる理由

結論:手順だけの引き継ぎ書は、例外が起きた瞬間に役に立たない

引き継ぎ書に必ず書くのは、次の7項目です。

  1. 業務の全体像と「なぜ」(業務ごとに1枚。目的と経緯をセットで)
  2. 年間スケジュールと締切
  3. 進捗・仕掛かり中の案件
  4. 年度別イレギュラー履歴(その年に起きた想定外と対応を1年1行ずつ)
  5. 口頭で言われたことのログ(文書に残っていない決まりごと)
  6. データ・資料の保管場所
  7. 関係者と連絡先(役職だけでなく人柄・注意点も)

引き継ぎ書に必ず書く7項目の一覧図。①業務の全体像と「なぜ」、④年度別イレギュラー履歴、⑤口頭で言われたことのログの3つが独自項目

よくあるテンプレートとの一番の違いは、1に「なぜ」、4と5に「文書に残らない情報」の置き場を作っていることです。
手順どおりに進まない場面で後任を助けるのは、手順の細かさではなく「この業務は何のためにあるのか」という判断材料だからです。

引き継ぎ書がなくて困った話

以前、担当している業務の見直しを任されたことがあります。
「このやり方、続ける必要ある?」を判断する仕事です。

そこで初めて気づきました。
その業務がいつ・何のために始まったのか、誰も知らないのです。

歴代の引き継ぎ書に書いてあるのは手順だけ。
前任者に聞いても「自分も前の人からそう教わった」。
やめていいのか、変えていいのか、判断する材料がどこにもありませんでした。

以前ある研修で、仕事は3種類に分けられるという整理を聞いて、腑に落ちたことがあります。

仕事の3分類の図解。決まった手順で進める仕事は手順書で足りるが、相手ごとに変わる仕事には過去の事例、自分で考える仕事には目的と経緯(なぜ)が必要

手順書がカバーできるのは、一番上の「決まった手順で進める仕事」だけです。
ところが実際の引き継ぎでつまずくのは、2つ目と3つ目。
だから引き継ぎ書には、手順そのものより「なぜ」と「例外の記録」を残す必要があります。

そして「なぜ」が書いてあると、もうひとつ大きなご褒美があります。
業務を減らせるのです。

「この確認作業は、○年前のミスをきっかけに入った。原因のシステムはもう入れ替わった」と分かれば、堂々とやめられます。
業務が減れば、残業も減ります。

引き継ぎ書に必ず書く7項目(記入例つき)

ここからは7項目を順に見ていきます。
例はどの職場にもある「取引先への月次請求書の発送」で統一します。

① 業務の全体像と「なぜ」(業務ごとに1枚の記入表)

業務ごとに1枚の記入表を作り、次の8つの欄を埋めます。

記入例
業務名取引先への月次請求書の発送
いつ(きっかけ・期日)毎月20日の午前。前月分の売上が確定したら着手
何を(手順の要約)①一覧を更新 ②請求書を出力 ③金額を台帳と照合 ④封入して発送
なぜ(目的)取引先の支払サイトが月末締めのため、20日までに届ける必要がある
なぜ(経緯)③の照合は2024年に金額違いで再送が起きてから追加した
終わった証拠台帳の件数と発送数が一致し、台帳に発送日を入れたら完了
迷ったら金額が台帳と違う→経理の○○さんに確認
当事者メモA社は担当者が毎年4月に変わるので宛名を要確認。3月は件数が2倍

ポイントは「なぜ」を目的と経緯の2段で書くことです。
目的は「何のためか」、経緯は「なぜこの手順になったか」。
この2つがあると、後任は例外が起きても自分で判断できますし、状況が変わったときに手順を見直せます。

「なぜ」を目的と経緯の2段で書く記入例の図解。なぜが書いてあると、例外が起きても自分で判断できる

逆に言うと、「なぜ(経緯)」がどうしても書けない手順は、やめてもいい候補です。
記入表を埋める作業が、そのまま業務の棚卸しになります。

なお「何を」の欄は要約で構いません。
細かい操作手順は別に手順書を作り、記入表には手順書の保管場所を書くほうが、引き継ぎ書が太りすぎず読みやすくなります。

② 年間スケジュールと締切

月ごとに、発生する業務と締切を一覧にします。

発生する業務締切注意点
3月年度末の請求書まとめ・契約更新の確認3/25・3/31件数が通常の2倍。2週間前に着手

「いつ」が抜けた引き継ぎ書を受け取ると、後任は着任直後の締切をほぼ確実に落とします。
忙しい月がどこかも分かるので、後任が自分の予定を立てる助けにもなります。

③ 進捗・仕掛かり中の案件

引き継ぎ時点で途中になっているものの一覧です。
「案件名・現状・次にやること・期限・関係者」まで書きます。
「次にやること」が書いてあると、後任は最初の一手で止まりません。

④ 年度別イレギュラー履歴

その年に起きた想定外と、どう対応したかを1年に1行ずつ足していく表です。

年度起きたことどう対応したか次に起きたら
2024年度取引先の担当者交代で請求書が未着に控えを再送し、宛名を更新4月の初回発送前に宛名を電話で確認

引き継ぎ書は「作るとき」より「例外が起きたとき」に開かれます。
よくあるQ&A形式との違いは、1回書いて終わりにせず、毎年溜めていくこと。
数年分溜まると、職場で一番頼れる資料になります。

⑤ 口頭で言われたことのログ

上司や関係者から口頭で受けた指示・依頼・約束の記録です。

日付誰から言われたこと対応
2025/6/3課長A社だけは請求書を担当者に直接メールで以後メール送付。発送リストに印あり

職場の「決まりごと」の一部は、どの文書にも書かれていない口頭ルールです。
前任者の頭の中にしかない情報が、異動と同時に消える——これを防げるのがこの表です。

市販のテンプレートにはまず入っていませんが、僕は7項目の中でもかなり効く項目だと思っています。

⑥ データ・資料の保管場所

資料名と、フォルダのパスや棚の番号を一覧にします。
「どこにあるか分からない」は、着任直後の問い合わせで一番多いパターンです。
パスはコピーできる形で正確に書きます。

⑦ 関係者と連絡先

社内外の関係者を、所属・連絡先だけでなく「どんな人か」まで書きます。
「返信が早い/電話のほうが早い」「毎年4月に担当が変わる」——こうした当事者にしか分からない情報こそ、引き継ぐ価値があります。

※人柄メモは、本人が見ても問題ない表現で書くのがマナーです。

毎年1回「育てる」——引き継ぎ書は作り直さない

7項目を一度書いたら、あとは毎年1回更新するだけです。
異動が決まってからゼロから書くのではなく、年度の変わり目に④と⑤を足し、変わった手順を直す。
これなら1回30分程度で済み、いざ異動が決まったときには引き継ぎ書がほぼ完成しています。

引き継ぎ書を毎年1回育てるサイクル図。年度の変わり目にイレギュラーと口頭ログを追記し、上司が確認して更新履歴に1行足す。1回30分で済む

このとき大事なのが、本文は常に最新版だけにすること。
過去の経緯は、文書の先頭に置いた更新履歴表に残します。

年度更新した人何を変えたなぜ変えた
2025年度○○請求書発送に「金額の照合」を追加前年に金額違いで再送が発生したため

「なぜ変えた」の列が、経緯の置き場になります。

Wordの変更履歴(校閲)機能を使う場合は、改訂作業中だけONにします。
上司の確認が済んだら「すべて承認」で反映し、履歴表に1行足します。
変更履歴をONにしたまま何年も溜めると、赤字だらけで読めない文書になるので注意してください。

Wordテンプレートのダウンロード

ここまでの7項目+更新履歴表を、そのまま書き込める形にしたWordテンプレートです。
各欄に薄字で記入例を入れてあるので、消しながら自分の業務に置き換えるだけで引き継ぎ書ができあがります。

📥 引き継ぎ書テンプレート(Word)をダウンロード

  • A4縦・Word形式(.docx)。会社のWordでそのまま開けます
  • 業務の記入表はコピーして、業務の数だけ増やせます
  • 登録などは不要です。そのまま職場で使ってください

よくある質問(FAQ)

Q. 引き継ぎ書と業務マニュアル(手順書)は何が違う?

手順書は「1つの作業のやり方」を誰でも再現できるように書くもの、引き継ぎ書は「担当業務の全体像」を渡すものです。
手順書は決まった作業には強い一方、例外対応や判断が要る仕事には対応できません。

引き継ぎ書に「なぜ」や「イレギュラー履歴」を書くのはそのためです。
細かい操作手順は手順書に分け、引き継ぎ書には保管場所を書くのがおすすめです。

Q. 引き継ぎ書はWordとExcelどちらで作るべき?

文章と表が混ざる引き継ぎ書はWordが向いています。
ページの概念があるので印刷して渡しやすく、変更履歴(校閲)機能で改訂の確認もしやすいためです。

一方、業務の一覧やスケジュールの管理が中心なら、行の追加やフィルタに強いExcelにも分があります。
迷ったら、本記事のWordテンプレートのように「本文はWord、一覧は表」の形が扱いやすいです。

Q. 毎年更新する時間がありません。最低限どこだけ更新すればいい?

「④年度別イレギュラー履歴」と「⑤口頭で言われたことのログ」の2つだけは足してください。
この2つは時間が経つと本人も思い出せなくなる、復元不可能な情報だからです。

手順の変更は思い出せますが、「あのとき何が起きて、どう乗り切ったか」は記録がなければ消えます。
理想は年度の変わり目に30分、この2つの表に数行足すことです。

まとめ

  • 引き継ぎ書に必ず書くのは7項目。中心は「なぜ(目的と経緯)
  • 手順書で足りるのは決まった作業だけ。例外と判断には「なぜ」と「イレギュラー履歴」が要る
  • 「なぜ」が書けない手順は、やめてもいい候補。引き継ぎ書づくりは業務の棚卸しになる
  • 異動が決まってから書かない。毎年1回、育てる
  • まずはテンプレートの記入表を、1業務ぶんだけ埋めてみてください

一つひとつの作業の細かい手順書の作り方は、こちらの記事で解説しています。

➡️ わかりやすい業務マニュアルの作り方|手順書に必ず書く5項目とWordテンプレ


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